結局、Yukiさんちで朝食までお世話になってしまいました。
奥様とも仲よしでとてもいい夫婦です。
奥様はおなかが大きいので、近々に家族が増える予定です。
Yukiさん、たいへんお世話になりありがとうございました。
私のアウトバックのタスクはもう終わったので、不要な装備を減らしてゆきます。Yukiさんには、これからはもう使わない、ジェリ缶を引き取ってもらいました。
記念に一緒に写真を撮らせてもらってから・・・。
Yukiさんを道先案内人に拉致って、クリストファーんちに行くところ。
Yukiさんがスマホで道順を調べてくれてます。
二人ともかなり怪しい風貌です。(笑)
下の写真のおっちゃんが今日いくクリストファー。
いま見返したら、約3ヶ月前、9月11日にダーウィンで彼と会ってます。
まだ暑かったころなので、シャツと短パンです。
彼との出会いはこんな感じでした。
私はYHが窮屈だったので、無意味な滞在費が掛るしヤメにして、今夜はどのへんで停泊しようか。とYH前の道端に車を停めてPCで調べ事をしていました。
その時に「アンタぁ、長距離旅行者だろ?オレは見ればわかるんだよ!どっから来たんだい?」みたいな感じで話しかけてきたおっちゃんがいた。
私はこういう車ですし、こういう見てくれなので、誰が見てもロングトラベラーなんですが話していると、「オレさ、あのバックパッカーに泊まって、車を待ってるんだよ。インドネシアからの通関さ。オーストラリアは検疫が厳しくってね。なかなか通らないんだよ。」
・・・・・???話が見えないんですが、これは私もシドニーで経験しましたから、よく理解出来ます。
穴ボコの開いているようなヨレヨレTシャツと短パンのおっちゃんは話し続けます。
彼との話は要約するとこんなはなし。
・おれはメルボルンに家がある。牧場なんだ。
・いま世界一周の旅から帰ってきたところだ。
・期間は6年半だ。
・走行距離は36万kmだ。
・自分で作った車でだ。
・2WDだけど、インディペンデント・サス(独立縣架)で1.3㌧しかないから、悪路での走破性や乗り心地はとてもイイぜ。
・エンジンはマツダのトラック用3000ccディーゼルだ。ノートラブルだったぜ。
・ずっと妻と二人一緒でだ。本当はもっと旅を続けたかったんだけど、妻が帰りたいというので戻ったんだ。
そんなことをいろいろ・・・。
・・・・・いや~。・・・このおっちゃん、カマすな~~~。。。。。。
・・・・・日本の小市民代表である私の感覚ではどう考えても、どれひとつ真実を語っているとは思えませんでした。
「ああ・・・そうなんですか。・・・はあ・・・はい・・・。」面倒だったんですが、まともに聞いて相手をしても仕方がないし、私は無難にやり過ごそうと相槌を打ちながら話を聞いていました。
そして、15分程度話したのち、彼は離れて行きました。
・・・だけど、数分後、女の人を連れてまた来た・・・いや~うっぜ~な~・・・。
次は、パソコンで印刷した紙を持ってきた。
「ヘイ!Yoshi!アンタにコレをひとめ見せようと思ってね。戻ってきたんだよ!見てくれ。これがさっき話したオレの車だよ!」
・・・彼はきっと、私から発する”あなたをホラフキンだと思ってますオーラ”を敏感に感じ取っていたに違いありません(爆笑)
それで、その紙に印刷された車をひと目見て、・・・・・私は目をみはりました。
「わお!驚いた!あなたコレ本当に自分で作ったのですか!?」
「おお!コレはパリ・ダカールラリーやバハ1000ラリーの、バギークラスのマシンみたいじゃないですか!!」
「そうなんだよ。フランスに友達がいてね、彼はパリ・ダカールに出場する車のビルダーなんだ。
彼は出場する選手に車を供給してるのさ。そのアドバイスを受けながら、この車は作ったのさ。」
私は手のひらを返したように、彼を質問ぜめにしました。
車じゅう貼ってあるシールやプレートはなに?屋根のテントはどうやって展開するの?スピードはどれ位出るの?サスペンションの仕組みは?フレームは?エンジンは?ブレーキシステムは?航続距離はどれ位走れるの?水中はどれ位の深さまで大丈夫なの?長い旅の途中でメカニカルトラブルはなかったの?
・・・そんなようなことをいろいろ(笑)
そして彼は、オーストラリアでの車両法規や保険、これからオーストラリアン・アウトバックのメインステージにはいる私へのアドバイスをくれました。
クリストファーと奥さんのエレイン
「クリストファー、私はあなたの車を見たいんですが、私がこれから向かうキンバリーには間もなく雨季が来る。
グレート・サンデー砂漠も日増しに気温が上がっているから、急がなくてはいけない。
私はあなたの通関が終わるまでダーウィンにいる事が出来ないんだ。
数ヵ月後、メルボルンに近づいたら連絡するので、是非あなたの車を見せてください。」
「メルボルンまでスチュアートHWY(舗装路)を南下するんですか?」
「いや、それは退屈なのでウードナダッタ・トラックとか、ダートを走ってゆくよ。」
この時はこんな感じで、彼らと別れました。
クリストファーが私のノートにメルアドを書いてくれてるところ(笑)
メルボルンに入る1週間ほど前、ふと思い出し、上の画像を添付して彼にメールを出しました。「クリストファーさん久しぶりです。ダーウィンで会ったYoshiです。今はグレートオーシャン・ロードを東に向かっています。もしあなたの都合が良ければ、あなたのグレート・カーを見せてください。」
こういうふうに旅先で出会って意気投合したりしてまた再会しようとしても、返事が来ない事はじつは多い。日本人と同じですね。
彼からはすぐにリプライが来ました。メッセージや住所、道順、電話番号。
こういう時は遠慮せずに行っても、迷惑ではないんです。
こういうわけで、クリストファーの家に向かってるところ。
郊外に向かって15分くらい走ると牧場地帯になって・・・。
馬で散歩してたりする人がいる・・・。
しばらくわかんなくて往ったり来たりしていると、電話をしてから遅いと思ったのでしょうか、静寂の中にエンジンの音が聞こえたのでしょうか。コレで家の入り口まで迎えに来てくれました。
コレが入り口の門(驚)
乗り物でないと門まで行けない。(笑)
家の敷地に大きな池がある。(笑)
カントリー風の農家の家を想像していましたが、外れました。
大きな倉庫に住んでるの???
入り口から中を覗くと、ありました。グレート・カー
36万km、6年半の旅から還った車は、静かに休んでいました。隙間なく貼られたステッカーやプレートは、各国のナンバープレートや通行許可証。
勲章ですね。
名前はVICTOR、ビクター号といいます。
独立縣架サススペアタイヤ
サンドラダーや装備がコンパクトに装備されてます
このアイテム一つ一つにストーリーがあります。
カルネや保険に関して、沢山の経験とアドバイスを伝えてくれました。
ココでは話せない事も。
盗難には会わなかったのか聞くと、”一度もないよ。私はランドローバー・ディフェンダーも持ってるけど、それはガラスを割られて3回盗難にあった事がある。
コレは何も無い事が見えるので、盗難しようと思わないんだろうね。”
”ほら、ステアリング・ホイールもワンタッチで外せるから、盗めないのさ。(笑)”記念撮影させてもらってるところ(笑)
いいオヤジなんですが、二人とも中身は子供なので、大はしゃぎです。
¥
両サイドに燃料タンク2個。
航続距離は1000Km。
コレはヘビ(みたいな枯れ木)なんですが、このヘビにまつわるストーリーを話してくれました。
”アフリカでね、国境を越えようとしていたんだ。そういう時は、なにか理由をつけてお金をせびられる事が多い。
免許証や車の書類なんか渡すと、持って行かれちゃってお金渡さないと返さない。なんて事は普通さ。”
”コンゴの国境にね、国境警備兵がいたんだ。マシンガンを肩から下げた、大きな男が4人いた。
ああ。またヤラレルな。私はそう思ったんだ。
「おぉーっ!」ってね、彼らは両手を前に突き出して車の前で立ち止まった。
マシンガンを持ってる兵士がだよ?(笑)
彼らはブードゥー教をとても恐れているんだ。
「この車には触らないほうがいいぞ!私の友達はブードゥー教の首領だ!彼はこのヘビに私のために呪いをこめた!私に危害を加えようとする者に災いをもたらすぞ!」
私がそう言うとね、遠くから手で「行け!行け!行け!」と合図して、彼らは決して車に近づこうとはしなかった。
それで私たちはフリーパスで国境を越えたのさ。
私は尋ねました。「本当に呪いがかかっているんですか?」
”・・・いや。タダの枯れ木さ(爆笑)”
コレはね、重機関銃のカートリッジ(薬莢)なんですけど、こんな話をしてくれました。
リビアの国境でね、国境警備兵がいた。
それでね、このカートリッジを指差して「コレはカダフィ大佐を殺った時のやつだ。」
そう言うと、やっぱりフリーパスで通してくれた。敬礼してくれたよ。
「ホントにそうなんですか?」
「・・・いや。違うよ。そこらのを拾ってペンで書いたんだ(爆笑)」
面白いでしょう。
ココでは書ききれないけど、この勲章一つ一つにそういうストーリーがあるの。
エアコンはついてないので、コンプレッサーはエアツールに使うそうです。
LSDやデフロックは無いんですが、カッティングブレーキ装備
みんなで歓談してるところ。
奥さんのエレイン。
口数は多くはありません。
私はエレインに聞こえないようにクリスに尋ねました。
「クリス、日本では男女は結婚すると、仲が悪くなることが多いんだ。おかしいよね。普通はこんな長旅には妻は同行しない。顔を見るのもうんざりなのさ。」
「私にとってはエレインのような、過酷な旅に同行できる女性は理想だよ。あなた達は6年半もこの車で旅をして、ケンカをすることはなかったのかい?」
「いや、しょっちゅうファイトしてるよ(笑)」
私はエレインに聞きました。「クリスとオーストラリアに移住する前、子供の頃イギリスで、エレインの両親はどんな仕事をしていたんですか?」「ファーマー(農家)だったわ。」
・・・このころに、彼女の我慢強い性格はつちかわれたのかもしれません。
お友達が遊びに来ました。だいぶ目上のようですが、いい顔してますね。
ファクトリー全景。
この裏側、仕切られたバックヤードが住居で、暖炉があるくつろぎの空間がある。
1962年型のジャガー・タイプE。
これからリストアする。って言ってました。
面白い車見せてあげるよ。と言ってシーツをめくって見せてくれました。
「この車はね、弟が作ったんだ。」
映画に出てきそう。
私のランクルより大きいんですが、2シーターのクーペ。
造りこみのディテールが凄いの。室内はアルミの板から造型、ダッシュボード、ハンドルは木。
メーター周りとかもシビレるかんじ(笑)
エンジンはジャガーのV12気筒
ボディはFRPだから、完全なワンオフではないようです。
型から何台か作るんだろうね。弟さんはビルダーなんでしょう。
見渡すとトラックを除くとすべて英国車です。
細かく聞かなかったけど、リストアとかを仕事にしてるんだろうね。
センターナットのスポークホイール
さりげなく鳥の羽根おいてあるのがまた、イイ味だしてるんですよ。
美しいですね。
「DEVAUXというのが、この車の名前なんだ。我が家のファミリーネームなんだよ。」
・・・日本でいうと、「田中」とか「鈴木」というかんじでしょうか。
自分が作った車にウチの苗字がついてるなんて、面白いですね。
それでいて公道も走れる。
こんなのもあります。
ダイハツって軽トラックだけじゃなかったのね。
コレもリストアするって言ってました。
荷台はビルダーが作ってたのね。
ワークショップの一角。
すべての工具は整然と並んでます。
コレは何のヘッドカバーかわかりますか。
そうです。スーパー7とかエランに載ってるエンジンのやつですね。
シーツを掛けてあるのはエラン。
古いジャガーですね。
私もよく聞かれる質問を、彼にしてみました。
「なぜ旅に出たんですか?」
「ああ、子供たちが巣立ってね。ここに家を建てようと思ったんだ。大きな家をね。その時に考えたのさ。”使わない部屋がたくさんある、そんな大きな家にエレインとこれからずっと二人きりで住むのか?”
”毎日バルコニーでゆりイスに座って、ゴルフをして過ごすのか?”」
「それはつまらない。私は本当は何がしたいんだ?」
「それで、旅に出る事にしたのさ。見た事がない世界を自分で見たかった。世界中を走りたかったんだ。」
整然としていて、シゴトが出来る人の作業場ですね。
私もよく聞かれるんですが、コレも尋ねました。
「お金はたくさん掛ったでしょうね。?」
「ああ。みんなそう言うんだけどね。オーストラリアで生活すると、贅沢をしなくても一年間に$40,000(約400万円)かかるんだ。
私たちが旅行中に使ったお金を、一年で割った金額が想像できるかい?」
「それ以上ですね?」
「Yoshi、そう思うだろ?でもね、一年で割ると、掛ったお金は$27,500(約275万円)なんだ。」
「それは私の予想よりだいぶ安いですね。」
スーパーマーケットで、オレンジが1パックで7ドルもするんだよ。7ドルあれば、南米ではトラック1台分買えるんだぜ。」(爆笑)
しばらく歓談したのち、お友達が帰ります。
Yukiさんも午後から用事があるので、最寄の駅までお送りします。
私も先を急ぐのでこのまま出発しようと思ったんですが、あまりに話が面白いのでもっと聞きたく、そして、庭で泊まっていいから今夜はここに泊まってけ。と、
そういう訳で泊めてもらうことにしました。
駅から戻るとクリスは働いていました。ゴーカートで遊んでるように見えるんですが、コレは芝刈り機です。
庭が広いので自分が乗って、走りながら芝を刈ります。
「私に仕事をください。芝刈りをやらせてください。」
そういって遊ぼうとしたんですが、ダメでした(爆笑)
「Yoshiはサンダルだから、ケガをするといけないよ。これは大怪我をするんだよ。」
クリスのディフェンダー110。コレは面白い話があるので、別に話しますね。
この写ってるところは、ぜんぶクリスんち。
本人が言うように、ここらでは「狭い敷地に小さな家」なのかもしれません。
でも島国ニッポンに生きる私としては、どうしてもそうは思えません。(苦笑)
私は「池を見に行ってきます。」そういうと、
「コレを持っていきなさい。おばあさんが使っていたのよ。」
そう言ってエレインがこの棒を渡してくれました。
「???は?」
不思議そうに棒を見つめる私に向かってエレインは、
「ヘビがいるのよ。根元が見えない草むらを歩くときは、この棒で確かめながら歩くのよ。」
「わお~!毒を持っていますか?」
「もちろんよ。猛毒よ。」
「ぎゃ~~~!」
でも、怖いもの見たさで池に行きます。
ドキドキで風景をたのしむ余裕は無くなりました。(笑)
とても珍しい鳥だと言っていました。
暗くなるまで、お茶飲んでしゃべったり、荷物の整理をしたり、PCいじったり、そんなふうに過ごしました。
みんなは夜は早めに眠ったので、私は電源を借りて夜中まで、またブログのアップをしていました(笑)