2013年12月7日土曜日

158日目・1207・サリナ/チャリティ・エンデューロ見学

 朝起きてブラットと、レース・トラック(モトクロスコース)へ出発します。
サリーがランチを作って持たせてくれました。
 途中で朝ごはんと燃料補給
 コースまでは30分くらい


 ここですね。ガム・バレー・レース・トラック。

 もう沢山の人が集まってます。
 昨日からキャンプした人もいる。
日本のモトクロスコースとは違って、ここは広大なフリーサイトのキャンプ場の中心に、レーストラックがある感じ。
だから、家族連れでキャンプを楽しむ雰囲気の人もいます。
あちこちで2サイクル・エンジンのカン高い排気音が聞こえ、2ストオイルが燃える匂いがするのが、キャンプ場とは違うところかな。

 レセプション(受付)

 着替え(笑)
こういうカゴのトレーラーに一式積んで、曳いてきます。
ブラットのバイク。 450cc。日本では免許制度の関係で400ccがボーダーラインになってるけど、ここは違うんだね。
 っていうか、日本が特殊なのかな?

 みんなそれぞれ個性のあるトランポで来てます。
 日本では1BOXを使うのが一般的だけど、ここはほとんどがピックアップかトレーラー。
 道も広いし、家の敷地も日本とは比べ物にならないくらい広いから、問題ないんだね。
 普段使ってる車で曳ければ、車は1台で済むしね。
 時間になってみんな集まってきて、
 主催者あいさつ。
このおっちゃんがですね、リック。
この時はなんの気なしに話を聞いていたんですが、とてつもない人物でした。
これはですね、今日のノベルティ。

コールド・ホルダーといって、缶ビールやソフトドリンクにパカッて被せて、冷たい時間を延ばすもの。ネオプレーンという、ウエットスーツの生地で出来てる。

チャリティの参加協賛金を納めたら頂いた。家に帰ってから聞いたんだけどね。
今日のチャリティ・エンデューロはこんなコンセプト。
 これにプリントしてある人の名前はマット41歳。子供は3人。

ハイテクニックを持ち、みんなから尊敬され、愛されているライダー。
そのマットが、レース中に大怪我をして、脊髄を痛めてしまった。今は寝たきり。でも、手術すれば治る。莫大なオペ費用が必要だけど、家族はそれを捻出できない。

それを聞いた主催者のリックと有志が軸になって、今回のエンデューロを催した。
そして、趣旨に賛同する仲間たちが、今日ここに集まった。
収益は、その全てがマットのオペ費用へのカンパになる。

Get Matt Back On Track(マットをコースに連れ戻そうぜ)
熱いですね。この人たち。

なんていうのか、本レースじゃないから空気はゆるいです。
チャリティだけど、ただ集金するだけではないところに感心しました。
今日のコースはレース・トラックだけではなくて、主催者の人脈から協賛と理解を得て、レース・トラックのほかに、周囲の広大なプロパティ(私有地・牧場ですね)を3つ通過します。
特別な1DAYコースで、普通は私有地だから立ち入り出来ないところ。
私は、聞き間違えかと思って、何度も聞きなおしたんですが、なんと1周100km。
ラリー・レイドみたいですね。
みんなイイ味出してます。


ブラット。
2ストも普通に健在です。
500ccとかも普通にいます。
そういう排気量を扱えるということは、やっぱこの人たちも、タダの者たちではありません(笑)
きのうの毎日同じシャツのマットも、500ccに乗ってるって言ってました。ホントかなぁ。
ん?ふとフェンスを見ると、小鳥の巣。中には生まれたてのヒナが動いてます。
普段はココは静かなのでしょう。
親鳥は心配しながらどこかで見てるでしょう。ごめんね。きょう一日だけ我慢してね。

こういうトレーラーも多い。


コレはサポートのトラック。
各ライダーが自分の燃料をポリタンクに入れて積んどいて、休憩ポイントで各自給油します。

みんながスタートしたあと、サポートが合流。
知らない間に私もサポートに入ってました(笑)

サポート先回り移動中。

プロパティの入り口で合流。
バギーを下ろしてるので、この先はバギーみたい。



ゆるい雰囲気の中、スタートしていきます。



女子もチラホラ見えます。



リックに”こっちに来い!”と呼ばれました。
私は彼のバギーに乗るみたい。

走りだしたんですけどね。普通じゃないんです。
私のカメラには、手ブレ防止機能がついてるのであんまりブレてないんですが、スピードが普通じゃない。
アクセルは全開か閉じてるかどっちかで、最高50kmくらいかな。コーナーは常に4輪ドリフト。
それはまるで、「走る悪魔が道路に復讐してる」みたい。(爆笑)

サスペンション・ストロークが短いこのバギーでは、すごい振動で、私はすぐにお尻の感覚が無くなりました。
ジェットコースターだって、おケツの感覚はあるじゃないですか。


最初はぎゃ~!とか言いながら、ふざけて楽しんでたんですが、振り落とされないように両手でロールバーにしっかりつかまってる事しかできませんでした。

だから、走り始めのコレしか、走行中のムービーは撮れませんでした(笑)
ゆっくりそうに見えるんですが、けっこう速いんですよ。
オマケに私はサングラスを車に忘れてしまったので、前を走るバイクの砂ボコリを、コンタクトレンズの目で受けなくてはいけません。
だから、痛くて涙を流しながら目をつぶって、無言でロール・バーからチカラ一杯ぶら下がり、これを100km走る。
日本語でいうとこれはまさに、「お仕置き」とか、「拷問」という言葉がピッタリ。(爆笑)



第一休憩ポイント
水飲んだり誰かと喋ったり。
燃料補給したり。

イイ顔してるでしょ?みんなこうなの。
木陰で休んだり。
ブラット。キャメル・バッグというリュックを背負ってます。
コレは背中の水タンクからチューブが出てて、口元まで来てて、走行中でも水が飲める。
なかなかスグレものです。
私は人種コンプレックスはないんですが、それでもなんか、白人はカッコいいよね。
白人から私を見ると、カッコよく見えてるのかね。
それはねえよな。たぶん(笑)
ブラットに、”きょうのコースはどうだい?”そう聞くと、
"チャリティだからね。とても簡単さ。”
”オーストラリアン・サファリもこんな感じかい?”
”いや(笑)比べられないくらいに、ハードだよ。”

私たちは最後尾を走って、バイクが通ったあとに、牧場のゲートを閉めたり、コーステープを片付けたりしながら進みます。
このね、青いバギーにのってるおっちゃんがまた、オモロイんですよ。

左ハンドルだから、アメリカとかから持ってきたんだろうね。




牧場のゲート閉めてるところ。

再び先を追いかけます。
急に停車しました。
早足で草むらに向かいます。シッコをしたいようです。
リックもお尻の感覚がないみたいです。どうしてそう思うのかというと・・・、



自分のケツが半分でていることに、気付いていないからです。
リックはとてもイイ味だした、カッコいいオヤジです。
でも、この時から私の中で、「半ケツリック」の異名を取りました。

ホラ、この青いバギーの人、足にギブス巻いて、松葉ヅエつきながら走ってんの。
奥さんがとなりに乗って世話してる。
どうしても来たかったんだろうね。




第二休憩ポイント。

ビニールのワニと記念撮影。

半ケツリック。


フロントタイヤがパンクしてます。

木に乗せてホイールを外します。
リックまた半ケツ出てるし。

最終補給ポイント。
私はブラットに話しました。
”リックの走りは、おかしいよ。いつもアクセルはフル・スロットルだし、コーナーではパワー・ドリフトなんだ。”
”私はロール・バーにハング・オン(ぶら下がってる)しか出来ないよぉ。”
”ああ、そうだろうな。彼はバギーのワールド・チャンピオンなんだ。”
ぎょえ~そうだったのか~!・・・私は全てを理解しました。



リックは、みんなからリスペクト(尊敬)されています。
グレイト・半ケツリック。

レジェンド・半ケツリック。
これくらい突き抜けていなければ、世界チャンピオンにはなれないのでしょう。



この後はレース・トラックに戻ります。
サポートの任務も終了。



キッズもはしってます。多いよ。
可愛いですね。






ココはバーカウンター。
一杯やりながら喋ってるの。
トタン貼りで、アウトバック・バーみたいなかんじ。










子供たちは元気に遊んでる。
いい環境ですね。

コレはこれから始まるチャリティ・オークションのかな?

いや~じつに可愛い。
カメラを向けると、いろいろポーズをとってくれました(微笑)



ブラットが私に言いました。”Yoshi,マッド・クラブ・タイ・コンテスト(カニ早しばり競争)にエントリーしといたからな。出ろよ。”
マッド・クラブというのは、とても美味しいカニと聞いています。

”え?ああ、いいよ。でもそれってなにすんの?”
”マッド・クラブ(大型のカニ)をヒモで縛るだけだよ。”
ふ~ん。私はよくわかんなかったけど、なりゆきに任せることにしました。
それで時間が来て、見たらこのカニ。でかいんですよ。甲羅が大人の手のひら2つ分くらい(驚)
それで、ハサミもでかい。
”Yoshi,It's dangerous !"(Yoshi,危ねえぜ。)
彼はCAREFUL(気をつけろ)じゃなくて、DANGER(危ねえ)を使ったので、私は尋ねました。
”コレって指挟まれたらどうなんの?”
”チョップ・アウト(切断)だ。”

ぎょぇ~~~!どうすんのどうすんのどうすんのよぉ~~~!
スタッフが私に聞きました”カニ縛った事ある?”
”いえ、いま初めてマッド・クラブ見ました。”
という訳で、インスタント・レクチャーを受けたあと、競技開始。
このビールの箱に入ってるやつを、出して渡されたヒモで縛るの。
チョップ・アウトって聞いてるから、やっぱりビビります(汗)
終わったところ。私が縛ったのは左下のやつ。3位でした、(安堵)
少年は変わらずに元気。たいへん結構。



この人は今日の主役、入院してるマットの奥さん。みんなに感謝の言葉を述べているところ。
私はこの時、急に司会に呼ばれて、みんなの前でスピーチを、英語でしなくてはなりませんでした。
今日ずっと横に乗ってた、主催者のリックが仕組んだみたいです。

「1990年にバイクでオーストラリアを旅して、今回はグレート・アウトバック・チャレンジをコンプリートしに日本から来たMr,Yoshiです!ミスターYoshi!ひとことどうぞ!」みたいな感じ。(滝汗)
いきなりアドレナリン全開で・・・自分でもなにしゃべったか、ぜんぜん覚えてないです(爆笑)

左側が、きのう話したブラットの弟クン、トラビス。
20歳のときここでバイクで走行中にアクシデントに会い、車椅子を使うようになった。
帰国後も彼とはよくメールのやり取りをしていますが、底抜けに明るくて、陰がないの。

旅の写真を送ってくれました。
彼の愛車は、なんとランドクルーザーHJ61V。6気筒のターボ・エンジンですね。
この車で、きのう話したキャラバンを曳き、みんなと一緒にアウトバックを旅する。
画像はシンプソン砂漠・バーズビル近くの、ビッグレッドという一番大きな砂丘のてっぺん。

人生って自分に都合がいいことだけは起きないけど、起こった事とどう向き合って、どこまで楽しんで生きようと思えるのか。

そこが肝心なんだ。と、彼の背中を眺めながら、あらためて感じていました。
みんなさあ、”コレ飲めよ!”って持ってきてくれるの。
これは、オーストラリアでの私の一番のお気にいり。
バンダバーグ。コーラの中に、ラムが入ってる。甘くて美味しいの。


こういう方に比べると、私なぞのヒゲは、まだまだ若造です。

この人がさぁ、このゴムのヘビを釣り糸で足に縛りながら、”WowWowWow !”とか”スネーク!スネーク!”とかいいながら、血相変えて走ってくんのよぉ。(驚)
ズボンの中に入れたり(爆笑)
オージーはみんな陽気です。
スコーピオン(サソリ)もいるし。(笑)
私は飲めないクチなんですが、次々にオゴって頂いて、結局この晩は夕方から深夜までに8本もご馳走になってしまいました。
これは今まで生きてきた中での、最高新記録です。(笑)
このビールはウマいです。グレート・ノーザン。
チャリティ・オークションやってるんだけど、なんだかわかんないね。

女子の酔っぱらいもいます。(苦笑)
バンドが演奏して、キレイどころが踊ってます。
またバンダバーグもらって飲んでる。(笑)
私はみんなの前で、スピーチしたり、カニ縛ったりしたので、声掛けやすくなったのでしょう。
通りがかる人が、みんな話しかけてくれるようになりました。(嬉)
夜半過ぎまで飲んで、私とブラット二人とも運転出来なくなっちゃったんで、
ブラットのトラックの横の地面でふたりで眠って、夜明けに家に帰りました。
きょう、走行会やチャリティ・オークション、こういうバーの収益を含めて、30,000ドル(約300万円)が集まったと聞きました。
やったね。
マットさん、みんなが待ってます。はやく良くなって帰ってきてね。(ピース)


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